新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として 厚生労働省 首相官邸 のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

ITが苦手な建設業に有効なツールと進め方を考える

前回の「コロナ禍の工務店・工事会社の差別化とIT」は

・コロナ禍で借入増、需要減の中で受注・利益確保が求められる
・これまで以上に差別化が求められるが、IT化が遅れた建設業では
 ITを活かすことが他社との大きな差別化になる

・コストよりも旗振り役などの人材の問題、特に経営者次第
・IT化の取り組みは業績を左右することが中小企業白書でも指摘

といった内容でした。

今回はさらに具体的に
・企業規模別、どこから手を付けるか、どのツールが有効か
・どのプロセスから手を付けるか
・進める上でのポイント
についてまとめます。

業界団体の策定した感染予防ガイドラインでは「テレワーク等、ITを活用した事業スタイルの変革」が掲げられていますが、実際は「具体的にどこから手を付ければいいのか?」と悩んでおられる会社も多いと思います。
そこで、実際に中小企業のIT導入を推進されてきた専門家の意見も踏まえ、導入時のポイントもまとめています。

小さな会社に大げさなものは必要ない

「1億円の壁」と業界内で言われますが、建設業は大きく分けて以下の図のように規模別に4階層に分かれます。(※)
約500万人の建設業従事者のうち、約半数が③の年商0.5億円未満の小規模工事会社(社員数10人以下)か④一人親方として働いています。

図1

この分類に従い、以下の図のように企業規模別に有効なツールを整理してみました。

図2

【③小規模工事会社④一人親方】
ほとんどが専門工事会社として施工に特化している規模感です。

CraftBank等の顧客管理ツール
・Andpad等の施工管理ツール
・LINE等のコミュニケーションツール

がスマホとiPadで使いこなせればIT化に対応できていると言えます。
最近は「指定の施工管理ツールが使えることが協力会社会に入る条件」等、元請側がITの使いこなしを求めるケースもありますので、「一人親方でも最低限のツール(スマホとLINE)は使えること」が必要になっています。

【①②大~中規模工事会社】
この規模になってくると、元請として一定規模の工事をすることも増え、経営管理という考え方が求められてきます。よく聞く「数字は俺の頭に入ってるぜ!」では対応しきれない規模感ですね。経営管理やデータ管理を考えているから、規模が大きくなって、「1億円の壁」を越えられたとも言えます。(例:住宅会社でOB顧客のリストが管理されている等)

エクセルで対応できる業務もあるので、「この項目をきちんと管理していく」という考え方、姿勢の方が重要ですが、安く便利なツールがあるので、組み合わせながら自社に合った形を模索していくのが現実的です。

・顧客管理はエクセル
・(感染防止の観点からも)Zoomなどのオンライン商談ツール
CraftBank等の協力会社獲得ツール
・(協力会社への提供側として)Andpad等の施工管理ツール
・(協力会社との連絡手段として)LINE等のコミュニケーションツール
・Cyboz等の社内コミュニケーションツール
・弥生会計等の会計ソフト

このあたりが軸になると考えられます。
いずれのツールも無料~月数万円から導入できますので、前回の記事のように、「費用よりも使いこなし」がポイントになってきます。

人事、会計領域に比べ、協力会社手配・施工管理領域はIT化が進んでいない

次いで、建設業のコストとクラウド導入率の対比した図を以下に作成しました。人事、会計等の領域に比べ、建設業最大のコストである「外注費」に関連する「案件管理・協力会社手配・施工管理」領域でのIT化が進んでいないことが分かります。

図3

①協力会社等に対する外注費(案件管理・協力会社手配・施工管理)は総完成工事高の43%を占め、施工管理は多くの時間を協力会社とのやりとりに使っている
② この外注費領域は人事、会計、販売等に比べ、クラウド導入率が低く、未だに電話帳が使われるなど、非効率な運用が成されている

上記の点から、協力会社手配ツールや施工管理アプリの活用によって、現場(発注側、受注側双方)の負担を軽くすることが有効かつ全体への影響が大きい選択肢として考えられます。
一方で、協力会社にツールを使いこなしてもらうためには、協力会社の理解を得るための発注側の工夫が必要であり、その点については今後も検証・情報発信を続けていきます。

「便利なものがあるから使う」が自然

コロナ禍を受けてDX(デジタルトランスフォーメーション)を始めとするIT活用の議論が活発化しています。一方で専門家は「ITツールありき」の議論ではなく、「あくまでITは道具にすぎない」と指摘しています。
「昭和に最適化された商習慣・仕事のやり方」を見直す過程で「たまたま便利なツールがあったから使ってみた、それがITだった、やってみたら良かった」という流れが自然です。あまり「改革」などの大げさな言葉を使わずに自然に進めていく方が定着するのではないでしょうか。

前回も書いた通り、進める上での有効な取り組みは以下3点です。

・経営層の巻き込み(トップが率先する)
・中長期視点とスモールスタート(いきなり完璧・全体を目指さない)
・部門横断検討会・プロジェクト(総務に丸投げしない)

余談「若い人に新しいことを教わるのが嫌」

最後に私の経験で恐縮ですが、以前ある企業で紙の稟議書の紛失が続き、郵送費もかさんだため、「紙の稟議書・ハンコ廃止・社内手続きオンライン化」を進めました。

進める上である年配社員から謎の抵抗にあいました。理由は
「若い人に新しいことを教わるのが嫌だから」
「IT化が進むと若い人が偉くなってしまうから」
笑い話のようですが、他社でも起こりえる話だと思います。
新しい仕組みを導入するにあたって起きる、心理的抵抗や人事面の影響も、一定考慮しなくてはなりません。
導入に当たっては耳を傾けるべき意見と、そうでない意見の違いもよく見極める必要があります。私の場合、先述の意見は無視して効率化を進め、結果的に好評でした。「声が大きいだけの意見は思い切って無視」も状況によっては選択肢の一つです。

本記事は、新建ハウジング社運営の媒体と連携しています

この記事を書いた人:髙木 健次(ConTech総研)

【関連記事】
新型コロナが変える建設業の今後:直近動向と"コロナ後"の考察(4/2時点)

新型コロナが変える建設業の働き方 ~対面と紙とテレワーク(4/14時点)

建設業特化・新型コロナウイルス関連支援策(4/20時点)

図解 5分で分かるコロナ禍の工務店・工事会社の資金計画・資金繰り

海外事例から見る、 工事再開後の建設現場における感染防止策 (5/7時点)

図解 5分で分かるコロナ禍の工務店・工事会社の売上計画 3つのポイント

5分で分かるコロナ禍の工務店・工事会社の差別化とIT

【建設業界向け】コロナ対策ツールの紹介

【twitter】

【facebook】



ありがとうございます。シェアもしていただければ幸いです。
8
クラフトバンク総研は、「Construct the Connection」をテーマに、民間建築業界のいまとこれからを研究・発信してまいります。 建設系専門紙で連載中 https://chikalab.net/rooms/112

こちらでもピックアップされています

建設DXの現場
建設DXの現場
  • 1本

建設業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の現場について

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。