イメージ

②職人の課題 ~ダントツ一位は採用

前回のレポートと今回のまとめ

前回12/18の初回レポートは皆さんの実感値と数値を比較してみていかがでしたか?
「職人不足」が単純な問題ではなく、複雑な要因が絡んだ問題だと改めて思います。
引き続き、こういうレポートが欲しい等、ご意見をいただきたいです。

↓前回のレポート

前回は以下の内容でした

・3,600社のデータベースから「職人不足」のリアルに迫るシリーズ
・データベースは10年後の業界を担う若い企業が中心
・「職人不足」が指摘される業界の中にあって、3,600社中6割以上が
 「受注希望」と、二つの事実の間にギャップ
・エリア、法人形態(個人事業主か法人か)、工種等で「受注希望増」の
 比率には差異がある。 


第二回は「職人が感じている課題」にフォーカスします。

建設工事マッチングプラットフォーム、SUSTINAのデータベースには職人が課題として感じていることのデータもあります。

以下の10項目から課題を選択してもらっています。
今回はその課題に関する検証を行いました。

図1

調査結果の主要数値、傾向は以下の通りでした。

①職人の課題/全体
 第一位は【1】人材採用(34.2%)
 第二位は【8】営業力・販売力強化(8.3%)
 第三位は【9】事業拡大(6.8%)
②工種による差異
 人材採用が課題と答える比率は、工種よって差異がある
 平均値より高い(≒採れていない):塗装、足場、電気、大工
 平均値より低い(≒採れている) :内装

③地域による差異
 人材採用が課題と答える比率は、エリアによって差異がある
 東京             :31.2%
   神奈川、埼玉、千葉、大阪、愛知:32.9%
 その他41道府県          :38.0%
    ⇒地方に行くほど採用が課題と感じる企業の比率は高くなる

サンプル:11月末時点SUSTINA会員データベース(独自調査)
詳細は①のレポートをご覧ください

以下、詳細です。

①職人の課題/全体

図2

【1】人材採用が34.2%(n=1,234)でダントツの一位でした。
 次いで、営業力強化、事業拡大といった営業関係の項目が続きます。
「その他」と回答している企業は
・「元請でなく〇〇県で不動産等の施主に近い先を探している」
・「ピンポイントでこの工種だけ不足している」
等の具体的な要望を挙げるため、10項目の中から選択しなかった企業が大半でした。

②工種による差異

図3

人材採用が課題と回答した比率を主要5工種(全体の6割を占める工種)について調査し、全体の平均値(34%)と比較しました。
内装は平均値以下、塗装、電気、大工、足場では平均値以上でした。
特に電気、足場は他工種と比較して突出して人材採用を課題する比率が高くなっています。採用が課題と感じる企業の比率には工種ごとの差異があることが分かります。

③地域による差異

図4

人材採用が課題と回答した比率を本社所在地別に調査し、全体の平均値(34%)と比較しました。
東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、愛知では平均値以下、その他41道府県では平均値以上でした。地方に行くほど、採用が課題と感じる企業の比率が高いことが分かります。

※1都3県、大阪愛知を切り分けている背景
ConTech総研の研究領域である民間建設投資の7割弱が1都3県、大阪府、愛知県で占められ、地方は土木関連の公共工事の比率が高いため(国土交通省 建設工事施工統計調査H29より)

④コメントの分析

各社のコメントを見ると、「人材採用が課題」と答える企業は以下の二つの傾向があります。
・受注が増えて人手が足りない等の「ポジティブ要因」
・従業員の離職等の「ネガティブ要因」

また、個別のコメントをよく読むと
・「元請を確保できている企業」は採用も出来ている
・特定の元請に依存することで従業員の待遇に影響している企業がある
・従業員の退職がきっかけで仕事を減らさざるを得ない企業がある
同じ小規模企業でも各社で状況が大きく異なっていることが見て取れ、「どこも採用に苦戦している」状況ではないことが分かります。

人材採用が課題と答えた企業のコメント例

ポジティブ要因
・良い条件の元請を増やすことが出来、ようやく職人を一人採用できた
・(地方の足場)今忙しいので定常的に人手が足りない。
・前職からの付き合い等で現場数には困っていないが人手が足りない

ネガティブ要因
・電気工事の職人さんを雇用していたが、辞めてしまい、その分野の仕事
 を断るしかなくなった

・地場企業に依存しているが、単価がどんどん下がっている
 従業員の待遇に影響し、一人辞めてしまった

・自分たちの工種は人手の確保が難しいため自社採用はあきらめており、
 仲間とのつながりを持つことで請けられる案件を広げたい

初回レポートは「受発注どちらを希望しているか」がポイントで、今回は「人材採用に対する課題感」がポイントでした。
次回三回目は「受発注希望」と「採用課題」をクロス分析し、この二つの関係性について検証します。

この記事を書いた人:髙木 健次(ConTech総研)

↓ 連載記事はこちら

①元請と職人たちのホンネ
https://contech.sustina.me/n/nd66a5a27ae6a
②職人の課題 ~ ダントツ一位は採用
https://contech.sustina.me/n/n625f8dc2e25c
③受注 × 採用 ~ 地域・工種別に個別対策が必要
https://contech.sustina.me/n/n2ba63558b887
④職人不足時代の工事会社のリアル
https://contech.sustina.me/n/nf357b1baaf9d
⑤職人不足時代の元請の工事会社探し
https://contech.sustina.me/n/n7c0eeca48402

--------------------------
ConTech総研のTwitter: https://twitter.com/ConTechResearch

ありがとうございます。シェアもしていただければ幸いです。
15
クラフトバンク総研は、「Construct the Connection」をテーマに、民間建築業界のいまとこれからを研究・発信してまいります。 建設系専門紙で連載中 https://chikalab.net/rooms/112

こちらでもピックアップされています

職人企業3600社のリアル
職人企業3600社のリアル
  • 5本

建設業や関連産業、その支援に携わる方向け

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。