新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として 厚生労働省 首相官邸 のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
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臨時号④:新型コロナが変える建設業の働き方 ~対面と紙とテレワーク(4/14時点)

「感染リスクがあるし、対面で営業マンから住宅の提案をされたくない」
「未だにITを使えず、FAXやハンコ文化の会社で働きたくない」
オンライン化、テレワークが前提の社会になる中で、実際にSNSで広がりだした意見です。

「中小企業のIT化の遅れが通勤を止められないサラリーマンを生み、感染拡大につながっている」という厳しい指摘もあります。
「新型コロナが変える建設業の今後」臨時号 第4弾は、新型コロナウイルス肺炎が建設業の働き方をどう変えるのか、考察します。

当総研では、暗いニュースが続く中、ある建設業の経営者の方の
「今、コロナで建設業が試されている」
という言葉をヒントに、"コロナ後"の建設業界の今後、少し未来に向けた考察の発信を続けています。

※本記事は4/14時点の情報に基づいています

コロナが変えた日本の職場/採用も会議も…

上記は、3月時点の日経新聞の記事です。
有料記事なので主要箇所を一部抜粋すると、

IT大手GMOインターネットの事例
2011年の東日本大震災時にBCP(事業継続計画)対策の観点で、在宅勤務を導入していたため、今回の新型コロナの影響を受け、速やかに移行できた。

「役員会議がテレビ会議で実施」
「新卒採用面接や記者会見もオンライン」
→ 対面を前提とした業務が次々とオンライン化

請求書、契約書を取りに行くために出社せざるを得ない社員も
→ 紙、FAXを前提にした業務が課題

働き方改革など、生産性向上に向けて日本の職場を変える呼びかけが繰り返されたが、本腰を入れて取り組む企業はわずか
→ 新型コロナで日本企業の底力が試されている

対面と紙と会議、これまで当たり前だったことが今、新型コロナの影響で変わっています。

次に、建設業に起きている変化を見てみます。

建設業で起きている変化とリモートワーク

他の業種同様、「対面」前提の業務の見直しが成されています。

・建材フェアなどの大型イベントの中止
・住宅展示場、住宅見学会休止 
・住宅営業を対面営業からオンラインに切り替え

営業担当者と対面すること無しに来場者に自社の住宅の特徴などを説明・案内する「無人モデルハウス」に注目が集まっています。2年前からこの「無人モデルハウス」を運営している千葉の工務店は

「ウィズコロナ」の状況でも「受注の芽はしっかり作っておきたい」
「人材不足とそれに伴う営業効率化は地域工務店の共通課題」

とコメントしています。今後は、こういった手法の使いこなしとそのスピードが、新築住宅に限らず、各社の受注状況を左右するものと考えられます。

また、外出が困難になった今、多くの人がネット(ホームページ、SNS)で情報を収集するようになり、ネットでの露出がより重要になってきています。対面営業が困難な状況で、一部のホームページ制作会社には問い合わせが殺到しているという情報もあります。

では、テレワーク(在宅勤務、モバイル活用)についてはどうでしょうか?

東京商工会議所が4月13日に公開したアンケート(全産業回答数1,333)では、建設業のテレワーク実施率は物流業に次いで全産業で2番目に低い16.6%でした。(全産業平均は26%)

「いやいや、建設業は現場があるからテレワークは難しいよ」
施工現場はその通りです。職人の感染リスクがあることから、一部の現場を止めたゼネコンもあります。(4/14時点:清水建設、西松建設)
一方、「現場以外」はどうでしょうか?建設業は思いのほか協力会社との「打ち合わせ」「手配」に時間を使っているのです。

意外と協力会社と「打ち合わせ」している建設業

大和ハウス設計・施工のホテルで、設計部門の社員、派遣社員、設計施工の外注業者が「何に時間を使っているか」を調査した結果、「意匠設計」の作業では総時間の45.5%が打ち合わせだった工事においても作業時間の49.1%が打ち合わせだった。(施工協力業者、設備工事業者の時間はこの計算には入っていない)

この意匠設計の工程では設計、施工図作成を社内ではなく協力業者が行ったため、設計・工事担当者の主な仕事は「打ち合わせ」になってしまった。

建設業の時間の4~5割が打ち合わせ。その相手の多くは協力会社。
それもそのはず、建設業最大のコストは協力会社への支払いである「外注費」です。2017年度の国交省建設施工統計調査では、建設業全体の総完成工事高約88兆円のうち、「外注費」は約37兆円。完成工事高の4割以上が協力会社に投じられています。当然、そのために割く時間も大きくなります。

まずはこの「協力会社打ち合わせ」をオンライン化する(3回のうち2回はオンライン、1回は図面、現場を見ながら等)ことで、かなりの時間をテレワーク化できるのではないでしょうか。
また、これまで3回行っていた会議を2回で済ませるよう進め方から見直す等、これまでの慣習を見直すことも選択肢の一つです。(「そもそも、この会議自体が開催する意味なかったですね」という声も現場では挙がっています)

「あれ?うちの協力会社って、オンライン会議とか対応できたっけ?」
という疑問にお答えするため、建設業のIT化・効率化についてみてみましょう。

ITを活用した効率化に3割しか取り組んでいない建設業

中小企業基盤整備機構が2018年に行ったITと生産性に関するアンケート(中小企業約1,000社のアンケート、建設業はそのうち約100社)における、
「現在、ITを活用した業務効率化・生産性向上に取り組んでいますか?」という質問の回答結果は以下の通りで、建設業で「取り組んでいる」と回答したのは全体平均を大きく下回る約3割という結果でした。

図3

中小企業基盤整備機構2018年IT導入に関するアンケート調査より回答数が20社以上ある業界を抜粋して作成

ITはツールに過ぎません。IT無しでも業務効率化や生産性向上は出来ますが「昔からの慣習を見直すことが出来ているか」という点では、今回のコロナをきっかけに他産業に学ぶところがあると考えています。
この3割という数字を踏まえると、「協力会社にも業務の見直し、オンライン化を促す」ことが、元請としては必要になってくると考えられます。

例えば、厚生労働省は3月よりテレワークを推進するための助成金を創設しており、政府もテレワークを後押ししています。元請としてこういった情報を協力会社に発信することが必要になってくるのではないでしょうか。

では、建設業が業務を見直し、オンライン化していく上で、どこがポイントになってくるでしょうか?

「FAXを未だに使ってる業界で働きたくない」と言われる前に

先述の大和ハウスの反省として「これまでの仕事のやり方に何の疑問も感じていない」中で、ITツールだけ入れてもうまくいかず、「業務プロセスの見直し」が不可欠ということが挙げられています。

↓ 見直してみると意外とこんな感じかもしれません

図4

今回、コロナの影響で以下のように商習慣も変わろうとしているので、「変えよう」と言いやすい状況になっています。

図5

さらに、コミュニケーションの仕方も変わろうとしています

図6

「FAXを未だに使ってる業界で働きたくない」と社員に言われる前に、今回業界全体で習慣を見直すちょうどよい機会なのかもしれません。

一方、コロナを機に元請の協力会社の評価基準も変わる可能性があります。

コロナ前から一部の大手企業では取引開始時に経営者にヒアリングを行い、「ITリテラシー審査」を行っていました。今後は、この流れが業界全体に広がると考えられます。

・ホームページ無し、未だにメールではなくFAX
・パソコンは古いOS、しかもデスクトップ
・経営者も社員も皆ガラケー
・オンライン決済出来ない、紙の手形を使い続ける
・足で稼ぐ営業、飲みにケーションが一番だ!
・テレワーク?何それ?電話で仕事するの?

元請からの情報発信があってもそれを無視して変われない、上記のような工事会社は「コロナ後」の建設業では気が付いたら取引停止かもしれません。(印紙不要のオンライン決済が取引条件等になっている大手もあるため)

なお、製造業では既にEDI(電子データ交換)が一般化しており、大手企業とその下請の中小企業はオンライン上で受発注・決済を行っています。

オンライン、やってみたら結構便利だよね

クラフトバンク会員も既にオンライン商談を実施している企業が複数あり、
「初めてやってみたけど結構便利だね」
「取引先のA社さんに誘われてやってみたけど、いけるね」
と特に問題なく活用できているという声が届いています。「きっかけと身近な実例があれば意外と人は適応するもの」と感じています。

総研の所属するユニオンテックでもテレワーク、オンライン商談を導入していますが、別途、建設業がテレワーク、オンライン商談を導入する上でのポイント、課題についてはクラフトバンク会員の実例と合わせてまとめ、発信予定です。

7月加筆

住宅分野の業界団体の国土交通大臣への要望書でも、「テレワークのやオンラインでの商談・打合わせの推進、現場管理のリモート化等、従来の事業スタイルの変革に業界として取り組む」ことが明記されました。

この記事を書いた人:髙木 健次(ConTech総研)

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新型コロナが変える建設業の今後:直近動向と"コロナ後"の考察(4/2時点)

コロナ禍で日本の建設業が止まる可能性は?欧米各国の動向を基に考察する(4/12時点)

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クラフトバンク総研は、「Construct the Connection」をテーマに、民間建築業界のいまとこれからを研究・発信してまいります。 建設系専門紙で連載中 https://chikalab.net/rooms/112

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