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3分で読める 2021年 建設業界 動向予測 ~ 差が開く1年

2021年、コロナ禍の影響を受けた後の建設業界の景気はどうなるのか?
2021年、最初に取り組むことは何なのか?
コロナを乗り越えた後、どうすべきか?
集客、受注、採用はこのままで良いのか?
建設業の倒産・廃業の動向は?先行きが不安等、
弊社が保有する工事会社データベース「クラフトバンク」のデータも踏まえながら予測します。

1:2つの図で振り返る2020年

2020年の建設業(特に公共土木を除く、民間建築分野)を振り返ります。 

①上方修正と廃業増が混在

図2

②領域、地域、工種によっても差がある

図3

このように、コロナ後の動向は「上り坂と下り坂が混在」しています。
2021年はこれまで以上に「差が開く」1年になるものと予測されます。
「ワクチンの開発や政府の景気対策で景気が回復する」という見方もありますが、景気回復したとしても、そのメリットを得られる企業と出来ない企業は分かれる、景気回復には領域差、地域差があると考えられます。帝国データバンクの調査では、2021年に景気が悪化すると予測している経営者が特に多いのは建設・不動産業でした。(公共工事は足元増加傾向にありますが、リフォームも含めた建設市場全体で7割弱を占める民間分野に波及するかは別問題です)
「差が開く」引き金は何でしょうか?7つのポイントをまとめました。

2:2021年 差が開く7つのポイント

図1

①の領域の差については「取引先が分散しているか」が重要です。売上が最大の取引先でも全体の3割を超えないことが基本とされていますが、これを達成できている企業は建設業の5割です。

②の地域の差については「エリア拡大を目指すハウスメーカーが増えている」ことに繋がります。新設住宅着工戸数やリフォームなどの建設市場は人口以上に東京、大阪、名古屋などの三大都市圏に集中しています。さらに、若年層(特に女性)は毎年、都市部に集まり、2040年には自治体の半数以上が存続困難と予測されています。
同エリアの競合の動向を気にされる会社も多いですが、根本的に「この町でいつまで商売を続けられるのか」を考える必要があります。

図4

③の工種についても①と同様に、幅広い工種と接点を持つことが重要です。
「塗装だけ」「電気だけ」で情報交換をしていると情報が入ってきません。

④の大手のシェア拡大と⑤の廃業増ですが、
・低層住宅市場は年20棟以上規模のビルダーが市場の75%を占め、
・リフォーム市場は大手40社のグループで既に市場の40~50%が寡占
されています。大手は1社百億円を超える広告費を投じ、SNSもテレビCMもフル活用して集客し、専属のデータ分析官も置いて戦っています。不況時には住宅購入検討者は中小企業を避け、大手に向かうという調査結果もあります。
不動産業に参入する建設業が増加しているのも大手との差別化を図るためです。発注者である不動産業も発注の際に工事会社の与信を厳しくチェックするようになるでしょう。

図5

⑥のオンライン施策について、「これまで3社検討していた人が自宅での調査の段階で対象を絞り、2社しか訪問しなくなっている」とも言えるので、知名度が無い上にオンライン施策が弱く、「検討時の上位2社」に入っていない企業は受注を減らす構図になっていると考えられます。
また、集客や採用広告の反応が悪化している(特に紙媒体)のは、コロナや景気もありますが、根本的に地方で人口が減っていることが大きいです。

図6

参考:SNS発信も無く、ホームページ更新の無い会社は不安という消費者

3:コロナで忘れられがちな「3年後の法改正」

⑦の法改正「時間外労働の上限規制」についてです。
これまで時間外労働の上限について、企業に罰則規定はありませんでしたが、2024年4月からは違反した場合、罰則が科されるおそれがあります
2019年4月から既に他の産業で適用されていましたが、特例的に建設業は猶予されていました。その猶予期間が2024年に終わります。

↓ 厚生労働省資料

建設業は多重請負構造に加え、現場では未だに電話帳が使われるなど、IT化による働き方改革が進んでいません。国土交通省・日本生産性本部の調査によれば、

・建設業の労働時間は他の産業に比べて年間340時間ほど長い
・週休2日を達成している企業は5.7%だけ
・建設業8.5人が働くのと、不動産業1人が働くのでは付加価値は同じ
 (就業者一人当たりの名目労働生産性)

だそうです。
また、建設業の技術職は人材紹介業が法律上、使えないため、自社の情報発信が重要ですが、その発信が弱い会社も多く、他産業への流出を招いています。

本記事では触れていませんが、2020年の改正民法、建設業法改正、2023年のインボイス制度導入など、他にも建設業に関連する法改正は多いです。
他業界では法改正や人材確保がM&A、業界再編のきっかけになっています。
建設業も2020年10月の建設業法改正でM&Aがやりやすくなりました。
自社で対応できない企業が法改正対応や人材確保のために、大手の傘下やFCネットワークに入る企業が増える
ことも予測されます。「いつまで自前主義で戦うのか」も重要な論点です。

【本記事の内容と次回について】

「この町でいつまで商売を続けられるのか」
「いつまで自前主義で戦うのか」
やや踏み込んだ表現もしているのは、家業も含め、倒産した建設業とそこで苦しむ人々を見てきた筆者の「倒産で苦しむ人を減らしたい」「フワっとしたきれいごとではなく、誠意を持って具体的に伝える」という思いからです。地方の中小企業が高額のフィーを払わなくともネットを介して有益な情報にアクセスできるよう、今後も情報発信に努めます。

②の地域間格差の問題については次回の記事で詳しく書きます。
「都市と地方の格差」と言われますが、「仕事量の差」「職人の単価の差」等、その差を数字で具体的に検証します。

この記事を書いた人:髙木 健次(クラフトバンク総研)

図7

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"コロナ後"の建設業③ ~"バラバラ"時代の生き残り策(2020年12月版)

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