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台風・水害に備えて建設会社が確認しておくこと ~会社が水没する前に(8/21時点)

3月より新型コロナウイルス感染症とIT化に関する記事が続いていましたが、今回は「災害 × 建設会社」というテーマを選びました。

東北の震災の教訓

自社エリアがどれくらい浸水するか知っていますか?
重機はどこに置いていますか?塩水に浸かれば使えません。
助かっても、初動は出来ますか?(中略)
燃料はどうしますか?被害エリア外の人と協定はありますか?

東日本大震災後の津波を経験した仙台の建設会社の社長の言葉です。
毎年各地で災害が続く中、改めて考えさせられます。

「4~5世帯に1世帯は土砂崩れ、津波、水害リスクのある土地に住んでいる」という国交省の推計があります。本格的な台風シーズンを前に、改めて災害と住宅、建設会社について考える機会になればと、以下に最新の状況をまとめました。

8月28日から、不動産取引のルールが変わる

8月28日から不動産取引のルールが変わるのはご存知でしょうか?

7月の熊本の災害など、近年の大規模水害の頻発を受け、宅地建物取引業法施行規則の一部が改正され、不動産取引時に水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を事前に説明することが義務づけられます。

不動産業も展開している建設会社の場合、重要事項説明書の変更や説明マニュアルの変更等、対応は必須となります。

ポイントは新築物件の売買に限られない点で、既に災害リスクの高い土地に立地している物件を貸す、中古で売却する際も、説明が義務づけられます。

「災害リスクのある住宅を売ったのか?」と災害後に施主に言われないためにも、改めてこれまでの販売実績とハザードマップの確認をお勧めします。

既に、災害リスクが高く、買い手のつかない土地を仕入れてしまい、困っている不動産会社も出てきたとの情報もあります。自治体が独自に新築を規制するエリアを設けるなど、リスクの高い土地に住宅を建てることがより難しくなっていくと予測されます。後述の保険の問題もあり、今後、災害リスクが地価や賃料に反映される可能性もあります。

参考記事

会社は水没するのか?保険でカバーされるのか?

ご自身の会社や施工現場、販売した物件が水没する可能性があるか、ハザードマップを確認されたことはありますか?

大手損害保険会社は、既に企業向け保険で、水害リスクに応じた地域別料金の導入を表明しています。浸水リスクの高い地域(全体の5%)に立地している企業の場合、高ければ1割損害保険料が上がります。

今回は企業向け保険に関する変更ですが、各社、個人向け保険でも災害リスクに応じた保険の仕組みの導入を検討しています。

企業向け損害保険では「水害」が標準の補償範囲に入っておらず、別途契約が必要な場合もありますので、再度、自分の会社や施工現場が水没するリスクがあるか、保険料が上がる可能性があるか、保険でどこまでカバーされるかの確認をされることをお勧めします。

明らかに川のそばに立地しているのに、コストを理由に水害を補償範囲から外していたり、逆に必要のないオプションをつけて余計なコストを払っていたりと、保険は意外と見落とされがちです。

ハザードマップは「所在地の自治体名+ハザードマップ」で検索できます。以下は東京都の区のサンプルです。

⇓ 荒川区

⇓ 世田谷区

建設会社が災害前に確認すること

建設会社が事前に確認しておくことは何でしょうか?
「災害後の復旧は建設業の使命」と理念を掲げる業界団体もありますが、建設会社そのものや社員が被災して、復旧に従事できない可能性もあります。
台風・水害を前提に国交省の事業継続計画作成の手引きからポイントを抜粋しました。

図1

①ハザードマップの確認
例えば荒川区、江戸川区などの「城東エリア」の場合、ほぼ全域に水害リスクがあるので、自社、取引先、施工現場とも水に浸かる可能性があります。社員の身の安全も確認する必要があるでしょう。

②被害想定と備えの確認
災害後は停電や納品遅延の影響も受けます。どこまでカバーされるのか、保険契約を再度確認する必要があります。

③重要業務の選定
災害があっても重要な支払(特に手形を振り出している場合は遅延即倒産につながる)は止められませんので、停電していても銀行支払いをしなければならない事態も想定されます。また、災害後は特定の地元の工務店に修繕依頼が殺到しますので、その対策も必要です。

④ボトルネック特定(+対策)
重要なのは災害後の工事における施工力、資材の確保です。
東日本大震災時もウェブ会議システム等で迅速に被害の小さかった地域の業者と連絡を取れたかどうかがポイントだったという意見もあります。
既に仙台と浜松の建設業協会が協定を結ぶ事例があるなど、自分たちの地域だけで災害後の需要に対応することはできない前提で、広域で連携する動きが始まっています。

冒頭例に挙げた仙台の建設会社はコロナによって進んだIT化が、社外・地域外とのネットワーク形成を後押しするという見方でした。IT化に遅れ、ウェブ会議システムも使えず、地域外との接点が薄いと、災害後に役割を果たせない可能性もあります。

⑤感染症対策
広域連携する場合、今年から施工現場の感染症対策が求められます。
弊社では海外の事例も参考に施工現場の感染症対策ガイドライン・入退室管理アプリを作成し、無償公開していますので、ご活用ください。

当総研では昨年の千葉の台風の経験から、継続して災害関連の情報発信を行っています。次回は、災害後の工事の課題と広域連携についてより具体的に書きます。

なお、内閣府主催の9/2オンラインイベントにて弊社の災害関連の取り組みをご紹介させていただく予定です。

http://future-city.jp/platform/information/event2020.html

参考

東日本大震災時の東北の建設業の実態調査

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この記事を書いた人:髙木 健次(ConTech総研)

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クラフトバンク総研は、「Construct the Connection」をテーマに、民間建築業界のいまとこれからを研究・発信してまいります。 建設系専門紙で連載中 https://chikalab.net/rooms/112

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