
「職人不足指数」の公開を始めます【2020年3月】
概要
ユニオンテックの運営する建設工事マッチングプラットフォームCraftBankのデータベースを基に、「案件掲載数÷発注者数」を指数化したものを「職人不足指数」と命名し、毎月、ConTech総研noteにて公開します。
「職人不足指数」は「発注者が職人探しにどのくらい困っているか」を客観的に示した数値です。大きければ大きいほど、発注者が職人探しに困っている=職人が不足していることを表しています。
定義
「職人不足指数」の計算方法は下記の通りです。
例えば、2019年10月を基準月とした場合、2019年10月の「職人不足指数」は1.00となります。
直近6か月の推移
2019年10月から2020年3月までの職人不足指数の推移は下図の通りです。
グラフからは、2020年3月が0.82と、大きく落ち込んでいることがわかります。発注者ひとりあたりの案件掲載数が前月比18%減であることを意味しています。
建設業界の3月は繁忙期であるという業界の常識に反するこの急減が、新型コロナウイルス感染症の影響なのかどうか、考察します。
比較①昨対比
前年同月比のグラフを見ると、先月の職人不足指数が著しく低いことが分かります。
2018年10月を基準月(1.00)とすると、2019年3月の「職人不足指数」は2.68にまで跳ね上がっています。
比較②建設工事受注動態統計調査報告(国土交通省)
国土交通省「建設工事受注動態統計調査」では、毎月の建設業全体の受注額が公開されています。
2016年12月から2019年11月までの3年間を平均すると、毎月の受注額は以下のように推移していることがわかりました。
1年間に建設業が受注する金額の約20%は3月に発生することを表しています。
※「職人不足指数」は案件数を単位としているのに対し、「建設工事受注動態統計調査」は金額を単位としているため、apple to apple の比較とは言い切れず、参考値であることにご注意ください。
まとめ
以上2つの比較を踏まえると、下記の示唆を得ることができます。
・平時においては、3月は他の月の2~3倍、職人不足になる傾向がある。
・一方、今年3月は、直近半年の中で最も職人が不足していない(10月よりも20%近く)。
・したがって、今年3月の建設需要は、例年の1/2~1/3に落ち込んでいる可能性が高い。
今後も、月次で「職人不足指数」を公表します。また、今回は取りあげていませんが、国土交通省は資本金300万円以上の許可業者を対象に「建設労働需給調査」を月次で実施しています。こちらも参考にしてください。
この記事を書いた人:田久保 彰太(ConTech総研)
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