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"コロナ後の建設業"② ~電気は忙しい、足場は厳しい?(2020年11月版)

「忙しいです。コロナの影響なんて無いですよ」
「コロナで仕事が無くて大変で…」
「電気は受注あるし、忙しいんだけどな」
「塗装だけど、他の工種はどうなの?」
弊社には日々、こういった問い合わせがあります。
本記事は上記のようにコロナ後の建設業の"バラバラ"な動向をデータに基づき検証するシリーズの第二回です。

前回記事
"コロナ後"の建設業① ~”バラバラ”業績を読み解く(2020年10月版)

今回は、全国2万社の登録する建設工事マッチングプラットフォーム「クラフトバンク」のデータから工種別のコロナ後の動向を分析し、建設業の経営者の方、コロナ後の建設業の受注動向が不安な方向けに、より具体的にコロナ後の建設業の生き残り策を考えます。

1:職人不足指数の推移

クラフトバンクは「東京の元請が埼玉の電気工事会社を探す」ように、受注増、事業拡大等の理由で工事会社を探す際に案件を掲載する仕組みです。

このクラフトバンクの案件掲載の傾向を見れば、「職人不足」の傾向を客観的に指数化できます。当総研ではこの指数を「職人不足指数」と命名し、月次で公開しています。

最新のトレンドを見てみると、10月の職人不足指数は前月より+0.15ポイント増加し、全体ではコロナ前の水準に案件が戻りつつあるのが分かります。
この掲載案件のトレンドをより細かく、工種別に見てみます。

2:塗装は減、設備は増、内装は横ばい

クラフトバンクの2019年10月~2020年3月までを「コロナ前」、2020年4月~9月までを「コロナ後」として、掲載案件の工種別比率を比較したところ、以下の通りとなりました

図2

①外装:塗装、防水、鳶、足場、大工など
②設備:電気、通信、給排水、空調など
③内装:内装、クロス、クリーニングなど
④その他:一式工事、解体、土木など

コロナ後、足場・塗装・大工などの外装関係の掲載数は減った一方、電気・通信・空調・給排水などの設備関係は掲載数が増加しています。

3:通信工事は3倍に増加、外壁塗装は減

増加した設備工事の詳細を見てみます。
設備工事は、電気、空調、給排水とも掲載数が増加していますが、突出して増加しているのがLAN工事、基地局工事などの「通信工事」で、コロナ前の3倍に増加しています。

スマートハウス関連のIoT機器や5G等の分野に注目が集まっていますが、その技術の拡大には機器を取り付ける電気工事・通信工事技師などの技術者の確保が不可欠になってきます。需要は急増しても、技術者は急には増えません。

逆に、コロナ前掲載数の多かったマンションや戸建て住宅の外壁塗装工事に関連する「塗装」「足場」「防水」等の掲載数は減っています。

前回記事のようにコロナによって「全て悪くなっている」わけではなく、「プラスとマイナスが混在している」ことが分かります。

4:元請は設備工事会社の確保、工事会社は工種別・エリア別に対策を立てる

前述までの動向を踏まえると、「設備屋がいなくて受注できない、工期が遅れる」事態も想定され、まず元請(発注側)は設備工事会社の確保が売上増の決め手になると考えられます。

クラフトバンクに掲載されている設備関係の発注単価もコロナ前より上がっており、「工事会社要因で起きる失注」と「工事会社への支払い増加額」をきちんと計算・比較する必要が出てきます。先述の電気通信工事の例の通り、「職人への支払額=コスト」の視点だけでなく、「職人の確保=販促費の一環」の視点でも考える必要があります。
弊社では元請の工事業務の仕組み化、工種別・エリア別相場に関するご相談も承っています

一方、工事会社(受注側)は工種別・エリア別に事情が大きく異なっている前提で、対策を立てる必要があります。前回記事も踏まえた考えられる打ち手としては以下になります。

・元請も会社によってプラス~大幅マイナスと業績がバラバラ 
 ⇒ 伸びている元請からの受注を目指す(1社に依存しない)

・地域によっては千葉の住宅着工など、既に対前年同期比を上回っている
 ⇒ 建設業許可の範囲で県外の受注も探っていく

・設備系を中心とした伸びている領域の工事会社と連携する
 ⇒ 設備工事会社では請けきれない内装工事等を外に出したいニーズあり

・他社の廃業をきっかけに発注に至ったケースも実際ある

大切なことは、前回も書いた通り「自分たちの周囲に仕事が無い=世間に仕事が無い」と思いこまないことです。冒頭のように「仕事が増えて困っている会社」「仕事が無くて困っている会社」両方が存在し、業界全体で「情報の目詰まり」を起こしている+コロナの影響がバラバラに生じているのが実態です。

次回は、これまでの記事とマクロデータの分析を通じ、より具体的にコロナ後の建設業の生き残り策を深堀します。
上記のように「解決策はあるけど、実行は難しい」点について、実際の事例から考えます。

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この記事を書いた人:髙木 健次(クラフトバンク総研)

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